ジェレミー・シーゲルの株式投資の未来を読んでレビューしてみました

株式投資の未来書籍

ど~も、のこりんです。

今回は投資家の方によく読まれているジェレミー・シーゲル/著「株式投資の未来 永続する会社が本当の利益をもたらす」を読んでみました。

この本を読むきっかけは某有名YouTuberの方が紹介しており、前々から気になっている書籍のひとつでした。

正直ちょっと難しかったですね~

ただ、読む価値はあったと思います。自身の投資スタイルの確認だったり、書籍化されるほどの有名な人の考え方を本一冊で学ぶことができるので!!

よくわからない投資セミナーだったり行くより、有益な情報を得れるし、時間の節約にもなると思います。

この記事では、自分なりに本書について要約してみたり、大事な点をピックアップして紹介していきます。

気になってたけどちょっと難しそうと思いまだ読んだことのない方には、ぴったりの記事だと思うので読んで頂けたら嬉しいです。

著者のジェレミー・シーゲルとは

まず、はじめにジェレミー・シーゲルって誰って思いませんか?

この人自体何者って私は思いましたw

なので、ジェレミー・シーゲルさんについて少し調べてみました。

シーゲルさんはペンシルバニア大学大学院の教授金融を担当されていた方!!

ただ、そこら辺に居る日本の大学教授とは違いこのシーゲルさんは、投資研究の世界的な権威として知られている凄い方なんです。

投資知識の浅い私でも名前は知っていました。

YouTubeの広告で流れっていたり、株式のことを配信しているYouTuberの方の配信でも度々シーゲルという単語が出てたのでw

株式投資の未来 永続する会社が本当の利益をもたらす 要約

あ、言い忘れていたのですが、この本の内容は長期投資に関する内容について語っているので、デイトレなど短期投資に関する内容を知りたいという人向けではないので注意してください。

それでは早速「株式投資の未来」の書籍を要約していきたいと思います。

私なりにシーゲルさんが言いたいのは、大きく3つだと感じました。

長期投資では配当金再投資の効果は絶大

長期投資する上でこの本では「IBM」と「エクソンモービル」を例に出して配当金再投資の効果がいかに大きいのかが解説されています

なお、上記企業を一言でいうと以下の様な企業です。

IMB:コンピューター関連企業
エクソンモービル:総合エネルギー(石油)企業

その企業を各指標で比較してみると以下のようになります。

指標IBMエクソンモービル
1株当たりの売上高12.2%8.0%
1株当たりの配当9.2%7.1%
1株当たりの利益10.9%7.5%
セクター成長率14.7%-14.2%

パッと見ただけでも投資するなら「IBM」ですよね!?

だって、各数値を比較するとIBMの方が優れているし・・・

私もそう思いました。

しかし、1,000ドルを投資して配当金再投資で1950年~2003年の53年という長期投資をした場合、運用成績は以下のようになり、エクソンモービルの方が高いリターンを出しているという結果になります

IBMエクソンモービル
トータルリターン13.8%14.4%
53年後の資産95万ドル126万ドル

という事は最初の長期投資においては、IBMではなくエクソンモービルを買った方が良かったということになります。

え、じゃあ、どうやって判断すればいいの~ってなりますよね。

最初の指標では、IBMが良かったのに・・・

そこでシーゲルさんは言っています!!

長期投資において見るべき株価指標は「PER」と「平均配当利回り」と言っています

それでは実際にIBMとエクソンモービルの上記指標を見てみると以下のようになっていました。

IBMエクソンモービル
PER26.76%12.97%
平均配当利回り2.18%5.19%
PERとは株価収益率と言われ、その企業の収益と比べて株価が割安か、割高かを判断する指標として使われています。銘柄の種類(セクター)にもよりますが、一般的にPER15倍を基準に、それよりも高ければ割高、低ければ割安と判断されることが多いです。

つまり、何が言いたいかというと・・・

IBMの成長力は高いが株価が割高のため長期で見た場合、株主の利益につながらないと言っています。一方、エクソンモービルは割安でかつ配当利回りがIBMの2倍以上もあるため長期で見た場合、高いリターンを株主にもたらすといっています。

長期投資に適した銘柄の共通点

上記の「長期投資では配当金再投資の効果は絶大」という項目では、IBMとエクソンモービルを比較して解説しましたが、実際の本書ではその他にもS&P500の当初の組み入れ銘柄と、その後に新たに組み入れられた銘柄で比較してもエクソンモービルのような「PER」と「平均配当利回り」が優れている銘柄の方が長期投資ではトータルリターンが高いと言っています。

と言っても具体的にどの様な銘柄が長期投資で向いているんだよって思いますよね。

安心してください。

シーゲルさんは長期投資に適した銘柄の共通点についてもしっかり語ってくれています。

以下の表はS&P500の当初採用銘柄で運用成績上位10銘柄になります。

No企業名1000ドル投資後の価値年率リターン業種(ジャンル)
1フィリップ・モリス4,626,40219.75%タバコ
2アボット・ラボラトリーズ1,281,33516.51%医薬品
3ブリストルマイヤーズ1,209,44516.36%医薬品
4トッツィー・ロ―ル1,090,95516.11%お菓子
5ファイザー1,054,82316.03%医薬品
6コカ・コーラ1,051,64616.02%飲料
7メルク1,003,41015.90%医薬品
8ペプシコ866,06315.54%飲料
9コルゲート・パーモリーブ761,16315.22%歯磨き粉
10クレイン736,79615.14%工業部品

表を見てみると「タバコ」や「お菓子」、「飲料」、「歯磨き粉」など生活必需品メーカー大手医薬品メーカーといった会社が多く見られます。

また、各企業は自社開発の製品があり強いブランド力を持っています

例)フィリップ・モリスの強いブランド力 ⇒ マルボロ
  コカ・コーラの強いブランド力 ⇒ コーラ

そのため他の企業と価格競争になっても強気の価格設定が可能です。そしてその結果として投資家への利益還元が増えることで運用成績が上位になったと考えれれています。

投資家リターンの基本原則とは

シーゲルさんは「投資家リターンの基本原則」とは…

株式の長期的なリターンは増益率そのものではなく、実際の増益率投資家の期待とのできまる”と言っています。

ここで「実際の増益率」と「投資家の期待」って何?どうやって図るのって思いますよねw

実際の増益率を図るには、EPS上昇率(1株当たりの当期純利益)を使います。

EPS上昇率 = 当期EPS / 前期EPS × 100

EPSを知るためにはその企業が決算発表時に提示している「決算短信 3項」の1株当たり当期純利益という欄の値を確認してみてください。
投資家の期待値を図るには、PER(株価収益率)を使います。
PER = 株価 / 予想EPS
上記の補足情報(i)でも書いたように、一般的にPERが15倍だと平均でそれよりも高くなると割高、それよりも低いと割安とされています。
割安(投資家の期待が低い) < PER(15倍) > 割高(投資家の期待が高い)
このPERとリターンの関係を調べるために、S&P500の構成銘柄を「PERが高いグループ」、「PERが中高グループ」、「PERが中グループ」、「PERが中低グループ」、「PERが低いグループ」の5つに分けて1957年~2003年までの累積リターンの推移を比較しました。
結果は以下のグラフになります。
株式投資の未来 PER別累積リターン表
出典:株式投資の未来
このグラフより「PERが低いグループ」のリターンは「PERが高いグループ」の1.5倍以上!!
また、「PERが低いグループ」のリスクは「PERが高いグループ」より約3%低いという結果が分かりました。
何が言いたいかと言うと長期投資においては、新興株の成長株投資はリターンが低くなります。

長期投資に適した銘柄の見つけ方

つらつらと書いてきましたが・・・
皆さんが知りたいのは、長期投資に適した銘柄ってじゃあ何なんだよ!!
どうやって見つければいいだよってことですよね~
先ほども記載したS&P500の当初採用銘柄の運用成績上位10銘柄について、「EPS上昇率」や「平均PER」、「配当利回り」の情報を付与すると以下のようになります。
S&P500の当初採用銘柄の運用成績上位10銘柄の一覧
No企業名年率リターンEPS上昇率平均PER配当利回り
1フィリップ・モリス19.7514.7513.134.07
2アボット・ラボラトリーズ16.5112.3821.372.25
3ブリストルマイヤーズ16.3611.5923.522.87
4トッツィー・ロ―ル16.1110.4416.802.44
5ファイザー16.0312.1626.192.45
6コカ・コーラ16.0211.2227.422.81
7メルク15.9013.1525.322.37
8ペプシコ15.5411.2320.422.53
9コルゲート・パーモリーブ15.229.0321.003.39
10クレイン15.148.2213.383.62
ここから選定方法を導き出すと以下のようになります。
1、低い期待値であること
指標的観点:PERが27倍以下であること
算出式:PER = 株価 / 予想EPS
2、高い成長率であること
指標的観点:EPS上昇率が8%以上であること
算出式:EPS上昇率 = 当期EPS / 前期EPS * 100
3、配当利回りが低くないこと
指標的観点:配当利回りが2.7%以上であること
算出式:配当利回り = 1株当たりの配当 / 株価 * 100
長期投資しようとしている方、すでに始められている方は、ご自身の銘柄選定基準にプラスしてこの条件も入れてみてはいかがでしょうか。

成長株の罠

上記では銘柄に焦点をあてた内容でしたが、最後に紹介したいのは成長株の罠ということで、セクターと投資家リターンについての解説です。

セクター別 市場シェアの推移とリターンの表

セクター  2003年  市場シェア  1957年  市場シェア 市場シェア  増減率 セクター・ リターン 当初採用銘柄の リターン
S&P500100%100%10.9%(平均)11.4%(平均)
金融20.6%0.8%+19.9%10.6%12.4%
情報・通信17.7%3.0%+14.7%11.4%11.4%
医薬品13.3%1.2%+12.1%14.2%15.0%
一般消費財11.3%14.6%-3.3%11.1%9.8%
生活必需品11.0%5.8%+5.2%13.4%14.4%
資本財10.9%12.0%-1.1%10.2%11.2%
エネルギー5.8%21.6%-15.6%11.3%12.3%
電気通信3.5%7.5%-4.0%9.6%10.5%
素材3.0%26.1%-23.1%8.2%9.4%
公益事業2.8%7.6%-4.8%9.5%10.0%

上記の表は1957年と2003年のセクター別の市場シェアの推移とリターンになります。

ここから分かるポイントとしては以下となります。

  1. 成長セクターほどリターンが大きい分けではない
  2. 市場シェアが大きく減少した=縮小セクターでも、平均のリターンを上回ることができる
  3. 最もリターンが大きいのは「医薬品」セクターである
  4. ほとんどのセクターで古株(当初採用)の方が新興株よりリターンが大きい※一般消費財セクターを除く

また、シーゲルさんは長期投資では銘柄選定をする際はセクター成長率以外(配当利回り)の指標を重視すべきだと言っています。

感想

自分が読んでみて重要だと感じた点をピックアップして書かせてもらいました。

ここで書かせて頂いた内容はほんの一部でもっともっと伝えたいことはあったのですが、そこは私が書くより実際に読んでご自身で知っていただた方がいいと考えているので、是非ここまで読んで頂いた方はジェレミー・シーゲルさんの「株式投資の未来」を読んでみてください。

難しい内容もあるとは思いますが、とても読みごたえがあり勉強になると思います。

コメント